松永天馬映画祭in沖縄 レポ
2017年12月3日
「松永天馬映画祭in沖縄」
@沖縄 安里 G-shelter
こんにちは。
これまでいくつかライブレポを書いてきましたが、今回はいつもの音楽ライブとは少し違ったイベントについて書こうと思います。
タイトルにもある通り、今回はなんと「映画祭」です。
チケット代1000円(!)という破格で開催が決定したこの映画祭は、音楽と映像の祭典『MOOSIC LAB』というイベントで招待作品として上映された「血、精液、そして死」「カメラ×万年筆=夏」に加え、今年7月に発売された松永天馬ソロアルバム『松永天馬』のAmazon購入特典である「Poem Video 映像詩集」の上映、さらに「カメラ×万年筆=夏」監督・ALiさんの舞台挨拶、という盛りだくさんな内容でした。
会場に入ると、一列ごとにわずかに高さを変え配置された椅子と大きなスクリーンが目に飛び込んできました。夏に訪れたときにはオールスタンディングだった会場も、この日はすっかり映画館になっていてとても素敵でした。
開演してついに映画が始まる…かと思いきや来る予定だった他のキャストの方がまだ会場入りできていない、ということで急遽ALiさん監督で天馬さんも出演している「あどれっせんすドレス伝(たんきゅんデモクラシー)」「二月生まれ(僕とジョルジュ)」のPVを流すことに。
思わぬ幸運にテンションが上がったところでいよいよ本編がスタート。
まずは松永天馬初監督作品「血、精液、そして死」から。
これは何度も見ていてセリフもほとんど覚えているような状態だったのですが、大画面で見るとまた新たな発見があり面白かったです。作家と編集者の掛け合いがコミカルなシーンではほかのお客さんの笑い声も聞こえてきたりしてなんだか嬉しくなりました。
次に「Poem Video 映像詩集」へ。
このふたつの映像は、細かいところまで計算された「Blood,Semen,and Death.」「ラブハラスメント」とは違い、どこまでが演技でどこからが素なのかわからない危なっかしさがありました。「血、精液、そして死」では首吊りを試みるなど死にとらわれる作家を演じた彼がここでは殺人鬼のように笑っていて、その差がモノクロとカラーの対比に現れているような気がしたり。
そして、観るのをずっと心待ちにしていたALiさん監督の新作映画「カメラ×万年筆=夏」。
突然の大地震によって離ればなれになってしまったふたりの物語。ストーリーの切なさが、スクリーンから溢れ出る極彩色と多幸感に満ちた挿入歌でより際立っていて、つい何度もほろりときてしまいました。想像していたより何倍も甘酸っぱく、そして素敵な映画でした。
映画の上映が終わったところで、キャストの紹介とALiさんの舞台挨拶へ。
映画撮影時の裏話をたくさん話してくださったので、個人的に面白いと思ったところをいくつか書こうと思います。
まず「血、精液、そして死」について。
天馬さんが倒れているところからグンとズームアウトするシーンがあるのですが(詳しくは本編をご確認ください)あれはドローンを飛ばしているらしく、しかし作品の時代背景を考えあえてクレーンっぽく見せるために少し斜めにするなど趣向を凝らして撮影されたそうです。
あと、松永ソロのロゴはALiさんが作られたとか。松永天馬という名前からイメージされる松とペガサス(天馬)をうまく掛け合わせていてとても好きなロゴです。血の丸と並べて置きたい…
そして「カメラ×万年筆=夏」について。
タイトルにある通り劇中でもPARKERの万年筆が出てくるのですが、それは「血、精液、そして死」で作家が使っていたのと同じものらしく、万年筆一本で物語がつながる感じがとてもいいなと思いました。
また、物語でも大きなテーマとなっている"地震"に関して「沖縄では震災のリアリティが薄かった」と話されていたのですが、確かに当時の私もテレビで見る被災地と沖縄の穏やかな空気のギャップに戸惑ったことがあったので、この話は大変興味深かったです。
そのほか「ラブハラスメント」などのPV撮影時の話や、ALiさんが持ってきてくれたいくつかの小道具を見ていると、限られた撮影時間の中でより良いものを撮ろうと奮闘する撮影監督の工夫が垣間見え感銘を受けました。
ステージの下やカメラの外で演者を輝かせ、いつもファンにときめきを与えてくれる撮影監督というお仕事の素晴らしさ、そして、これからはあらゆる創作をただ見るだけではなくその裏にある意図まで考えじっくり味わおうと心に決めた2時間半でした。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
またいつかお会いしましょう。
おわり