あこがれの人

レポとも言い難いライブレポばかり書いています

Blood,Semen,and Death. ライブレポ


 

2017年6月18日
松永天馬 初ソロバンド・ワンマン・ライブ「Blood,Semen,and Death.」
@新宿JAM
に行ってきました、のでそのレポを書こうと思います。
ライブからだいぶ日数が経っているのでもはやこの文章に需要があるのかどうかも分かりませんが、しかしそれでもあの日の感動と興奮をどうにか文章にして残しておきたいと思い、この記事を書くことに決めました。読みにくい部分もあるかと思いますが、お時間のある方は、どうかお付き合いいただけると幸いです。

セットリスト
Blood,Semen,and Death.
ラブハラスメント
人狩り
都市は優しい
好きな男の名前腕にコンパスの針で書いた〈カバー〉
てまきゅん愛してる
バージンブルース〈カバー〉
詩に紙(朗読)
少女地獄4'44”(朗読)
僕は吸血鬼か(朗読)
吸血鬼の自慰行為(朗読)
人間のバラード〈カバー〉
  MC
ゴーストライター
血文字系
身体と歌だけの関係〈カバー〉
アンコール
毒はクスリ(朗読)
シンジュク・モナムール・ブギ

 

(セトリはこのツイートから引用させてもらいました。)

https://twitter.com/urbangarde/status/876485745728339969

 

さて、今回は天馬さんの初ワンマンライブということで、普段は地方に住んでいて東京の二文字にはまるで縁のない私ですが「処女喪失は一度きり」と我が身に言い聞かせこの日新宿まで飛びました。
いろいろあって開演時間に間に合わず一曲目の途中からの参加になってしまったのですが、運良くスピーカー近くのスペースが少し空いていたのでそこから天馬さんの姿を見ることができました。

衣装はアー写と同じ、喪服みたいなスーツに血痕のついたシャツ、「SEX IS HEAVEN!」の文字列が揺れるネクタイと首吊り縄という格好でした。


一曲目「Blood,Semen,and Death.」はサビのジュリエッタ霧島さんのコーラスが印象的だったのと、ローテンションな歌い方だったせいか普段ライブ音源で聴いているよりも声が幼いような気がしました。

お次は新曲「ラブハラスメント」。
二番サビ前の「書いてよ 広めてよ」でパソコンのキーをカチャカチャ押すようなジェスチャーをしていたのがとてもコミカルでかわいかったので今後もぜひやってほしい所存。

そして三曲目「詩人狩り」。
これは「アーバンギャルドファンクラブ 前衛都市学園」の7月配信曲にもなっているので、これを見ている方はぜひチェックしていただきたい。すごいかっこよかったから。アーバンギャルドで演奏されるときとはまた違った魅力がありました。

四曲目「都市は優しい」は、天馬さん…DJてまきゅん?がSoundCloudに投稿していた「都市は優しい(2013年3月24日渋谷クラブクアトロ、松永天馬と谷地村啓による地下演劇を見てから、死ね)」のイメージがあったので正直ここまでポップというかたのしい曲になっているとは…という感じ。歌いながらケンケンパしたり、最後の「都市は優しい」を連呼する部分で観客も一緒に歌ったり。あと新宿JAMは天井が低いので天馬さんがジャンプするたびに後頭部をぶつけていたのがちょっと面白かったです。

それから一曲飛んで、曲が始まる前のお話。「俺の名を言ってみろー!」と叫ぶ天馬さん。ファンもやや困惑しつつ口々に\天馬ー/\松永天馬ー/と応える。「声が小さい。俺の名を言ってみろー!」\天馬ー!/というのが何度か続いて、天馬さんがふいに「てまきゅん?…ちょっとリバーブ多めで。てまきゅん?(エコーがかかる)」と言った流れで「てまきゅん愛してる」へ。
これを生で聴くのが夢だったので流れてきたとき勝利を確信しました。オタク構文的に言うと、優勝しました。歌い終わったあと、ぼそっと「新宿JAMはおしっこくさくないです」と言っていたのにはつい笑ってしまった。かわいい。

それから、原曲は野坂昭如さんの「バージンブルース」。「くちびるデモクラシー」のサビはこの曲のオマージュ、ということで聴きはじめ好きになった曲ですが、まさか天馬さんが歌うのを聴けるとは思っていなかったので感激。ニヤニヤと笑いながら「あなたもバージン あたしもバージン バージンブルース」と歌う姿はまさに"いまもっとも気持ち悪い男"の名に恥じぬ気持ち悪さ、かと思えば「角だせ槍だせ 目玉だせ 出さなきゃ貝殻 踏み潰せ」で足をドン!と踏む動きに思わずどきりとしたり、とにかく目の離せないパフォーマンスでした。

その後の、淡々と読み上げられる「詩に紙」と、電話でつないだ117の時報音声サービスを流す中で静かに読み上げられた「少女地獄4'44"」の朗読は、それまでの熱狂的な空気をシンと静かで緊張感のある空気に変えました。

朗読が終わると、先ほどまでとは打って変わって「結婚します!」と声高に叫んでみたり(この日はAKB総選挙の次の日だった)、Siriとの噛み合わないダイアローグで笑わせてくる場面も。
しかし「僕は吸血鬼か」の朗読が始まるとまた一気に天馬さんの詩世界へ引きずり込まれます。自分の体内で今にも目を覚まそうとしている凶暴さを必死に抑えるように声を震わせる、しかし「僕は吸血鬼か!」と叫ぶその姿はついに本能に抗えなくなった吸血鬼そのもの。ファンタジーの世界でしか見たことのない吸血鬼がまるでそこにいるかのようでした。

その流れで「吸血鬼の自慰行為」がはじまると、今度は打って変わってポップな曲調に明るい声で詩が読まれます。さながらそれはジェットコースター。さっきまで痛そうに叫んでいたのに今は歌うように読んでいる、そんな彼にひたすら翻弄されます。あとこの曲だったかどうかは覚えてないんですが、不安になるぐらい長めに股間をなでまわしたり歌い終わりでマイクに軽くちゅーしてみたり(本当に「ちゅー」って感じだったんです、伝われ)と、見ているこっちが頬を赤らめてしまうようなシーンがいくつかありました。


それから一曲飛ばして(「人間のバラード」は聴きながらちょっと泣きそうになってたぐらい良かったんですけどわたしの語彙力じゃ『良かった』しか言えそうにないのでスキップさせてくださいね)MCへ。
この日はずっと雨も降っていて肌寒い天気だったんですが、「本日はお日柄もよく…」と皮肉たっぷりに話しはじめた天馬さん。
(自殺者たちの喪服を見て)松永「僕たちが喪服を着ているということは…死んだのは客席の人たちで僕たちは見送る方なんですかね」
松永「Twitterの人なんて生きてるのか死んでるのかよくわからない人たちばかりじゃないですか」
SNSは"死ねし"の略ですよ、いいですか、SNSは?」\死ねしー!/


そこから話は自殺者たちのメンバー紹介、そして死因紹介へ。

Key.おおくぼけいさん→腹上死
松永「なんかあなたいつも腹上死じゃないですか?もっと、バラエティーに富んでくださいよ…『結婚します!』ってライブで発表したらファンに刺されるとか」
けいさま「天馬くんと、ね…」
松永「えっ?僕と腹上死ですか?」


G.ジュリエッタ霧島さん→不慮の事故
松永「不慮の事故ってどんなのですか?○○(シチュエーションの説明)みたいなことですか?」
ジュリ島「それで大体合ってます…!笑」
松永「ジュリ島さんって…キノコホテルってかっこいい、昭和のイメージじゃないですか。だけどジュリ島さんはけっこう、喋ると萌え声なんですよね。キノコホテルでコーラスとかやってるんですか?」
ジュリ島「一応やってます…!照笑」
松永「萌えますね〜。すごい萌えますね」
それから話が移り、「サロン・ド・キノコ」の告知へ
松永「そういえばキノコホテルさんも今度ワンマンやるらしいじゃないですか」
ジュリ島「サrンドキノコの…(噛む)」
松永「"サラウンド"じゃなくて"サロン・ド"でしょう!笑 "サラウンド・キノコ"ってなんですか!『あっちからもこっちからもキノコが聴こえてくる〜♪(手を両耳に当て辺りをキョロキョロ)』みたいなことですか」


B.渡邊健太さん→マインドで殺される
松永「マインドってなんですか笑」
「そんなこと言ったらこの人たちだってみんなマインドで殺されてますよ(客席を手で示す)」

Dr.タナカ"組長"ヨシトモさん→(ヤクザ関連の何かだった覚え。マイクが遠くてあまり声が聞こえなかったのです)
松永「組長は"組長"ってあだ名なんですよね。しかしあだ名が組長ってすごいなあ」
松永「『アウトレイジ』は"ヤクザの死に方図鑑"的なところがありますからね」
「『アウトレイジ』出たいよなぁ〜。もう終わっちゃったけど」

その他には天馬さんに似ている指名手配犯・桐島聡の話がありました。


「この曲を新垣さんに捧げます」という言葉ではじまった「ゴーストライター」。これはTwitterにも書いたんですが、最後のサビ「火をつけておしまい ジッポライター」の部分を「火をつけておやすみ」と歌っていたのがとても可愛くてびっくりしたということをここにも書いておきます。

そして「血文字系」。ライブで改めて聴いて、この曲かっこいいな!?ってなりました。イントロで「踊るわよ!」と言った天馬さんが最高に狂ったダンスをしていたのが個人的ハイライトです。


曲に行く前に、天馬さんと客席の「最後の曲ですが…」\え〜/「なんですか!最後の曲やらずに死ねってことですか!(超早口)」みたいな会話で場がすこし和んだ(?)ところで、最後の曲「身体と歌だけの関係」へ。
もりばやしみほさんのスローでやさしい曲調とは違いアップテンポなアレンジではあるのですが、ところどころで聴こえてくる優しい和音がなんだか寂しげで素敵な曲。『この時間が永遠に続けばいいのにな』なんて思いながら聴いていたら突如天馬さんがシャツを脱ぎはじめ、露わになった胸と脇にはわずかに毛が!さみしいモードから胸毛おかえりモードに変わった瞬間でした。やっぱり胸毛があると安心しますよね!(?)
そして曲終わりに上半身裸のままぱたりと倒れる天馬さん。サポートメンバーは捌け、舞台上には倒れた天馬さんのみという状況。倒れた天馬さんを前に必死に「アンコール!アンコール!」と叫ぶファン。こう書いてみるとちょっとシュール…

それから数分経った頃でしょうか。けいさまが舞台袖から出てきて、手に持っていた浴衣を半裸の天馬さんにかけてあげたあと、横たわる天馬さんのお尻に自分のお尻をあてがうようなポーズをして会場をどよめかせていました。死因が腹上死だからね…(上記参照)
けいさまが咳き込みつつその咳の音に合わせるようにピアノを弾きはじめると、天馬さんもゆっくりと起き上がりスーツ姿から天馬誕のときの浴衣に着替え、自殺者たちも「ゴホゴホ」と咳き込みながら舞台に戻ってきたところでアンコール一曲目「毒はクスリ」へ。
「クスリと笑ってあいつは言った」まで読んだところで手に持っていた紙を投げ「『踊りませんか?』」と言った天馬さんの姿が死ぬほどかっこよかったです。家に帰ってきてすぐに詩を読み返して思い出に浸るぐらいにはツボでした。

次の曲へ行く前に天馬さんから「この世は暗すぎる!あなたのiPhoneの光で照らしてください!」というような指示があってiPhoneのライトがぽつぽつと灯っていく感じが面白かったです。ライブ中に携帯を出すのはちょっと背徳感があったけど。
そしてこれが本当に最後の曲、「シンジュク・モナムール・ブギ」。終演後のツイートでブギって知ったよ。おしゃれでした。サビではiPhoneの小さな光の集合体が左右に揺れて、ステージから見たらきっと綺麗だったんだろうなあ。天馬さんが、二番サビ前の「演じるの 天使のように」で人差し指をくるくるさせて頬に当て、「二度とは」でピースサインしていたのがとても可愛かったです。天使のように、というか、天使では。


そんなこんなでライブは終了。咽び泣くファンの声が聞こえて、私も数ヶ月前から楽しみにしていたライブが終わってしまった現実を前にただ立ち尽くすしかなく。
流れてくる懐メロを聴きながらぼーっと立っていたら特典会のために天馬さんが戻ってきてくれて、『まださよならの時間じゃない!』と思い出し特典会の列に並びました。
この日の天馬さんはしゃべらないスタイルだったらしく、私の言った「かっこよかったです」の言葉にコメントすることはなくとも顔を上げてうなずいてくれました。わーい。サングラス越しだったので分からないけど、きっと目も合った(はず)。拙文ですがお手紙も渡せたので、はじめて天馬さんのライブに参加した身としては上出来な方でしょう。


今日のライブのことを忘れないように一生懸命反芻しながら地上へ続く階段を上っていったら、外はいまだ雨が降っていました。
東京は、新宿は小さな水槽みたいな街で、そこで歌い踊る天馬さんは少し窮屈そうで、だけどその水槽がとても似合う小さな魚のようでした。彼がその日全身にまとっていた病み(闇)が余計に彼をそう見せたのかもしれないけれど、目を離したらふっとどこかへ行ってしまいそうな危うさがありました。
彼は『書くことは苦しいけど書かないで生きていくほうがもっと苦しい』ということを前にツイートしていましたが、まさに彼は書くことで、ステージに立つことで苦しみを和らげているんだろうなと思いました。

私の好きな松永天馬さんがそこにありました。
そこに天馬さんが居続ける限り、私も追いかけていきたいと思えるようなライブでした。


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ここまで読んでくれたあなたに最大の感謝を。

これを読んだあなたが、今後の天馬さんのソロライブ/イベント等に足を運んでくれたならとても幸いです。

 

 

おわり